Blog ツキ・ブログ

体験入学受付中

HOME // ツキ・ブログ // スイーツ商品化の最短ルートに立ちはだかる壁と、その攻略法

Blog 読むとツキがあがるブログ

CATEGORY


商品開発

スイーツ商品化の最短ルートに立ちはだかる壁と、その攻略法

2017.6.23 2024.1.28 更新
スイーツ商品化の最短ルートに立ちはだかる、最大の壁は「完成したレシピの再現」が思いの外、難しいという事です。レシピ通りにやれば、誰でも同じ物ができるんでしょ?という考えは非常に危険です。

レシピの再現が難しい理由と、どうすれば上手くいくかの攻略法も併せて、経験20年超えのスイーツコンサルタントがお伝えします。

目次

商品開発最大の障壁とは?

当方にはスイーツ商品開発における「レシピ構築」メニューがあります。いわゆる「こんなお菓子が作りたい!」というご依頼に対し、試作代行・レシピ構築・レシピ納品を実施します。

そこで、どことなく感じられるのが「レシピができさえすれば」商品化は達成できたも同然、「早くレシピを完成させてよ」といった雰囲気です。レシピを重んじてもらえるのは非常に嬉しいのですが、レシピを「過信」されている部分が多いなぁ...(一抹の不安)と。

実際は「レシピ完成&納品後」が最大の(商品化における)壁になるケースが圧倒的に多いのです。

完成レシピの再現は想像以上に難しい

なぜ「レシピ完成後」が最大の壁なのか?というと、そのそもレシピというのは「音楽の譜面」のようなもので、製菓の未経験者にとっては正確に読み取ることが難しいものなのです。

ただこの時、ややこしいのが譜面にある記号表記と違い、レシピは日本語と数字表記なので「読めた」気がしてしまう点です。

書いてある通りにやりさえすれば、簡単にできそう、と誤解されるのですが、現実はそう甘くありません。

実際には、書かれていない行間に読み取らないといけない様々な事柄があります。なぜそれをレシピに書かないのか?というと、正確には「書ききれない」という状況なのです。

例えば、製造日の気温や湿度によって「作り方」は微妙に変わりますし、使う機材によってもやはり「作り方」が違い、入荷されたその日の材料の状態でも「作り方」は変わります。つまり「日ごと」あるいは「刻一刻と」作り方は変わるので、とてもじゃないですが全てを書き切れないのです。

ただ、それだと皆さん困ってしまうので別途、全てを書き出し、こちらでまとめてご用意してあります。それがMOTHERSWEETS®独自の「レシピ取扱説明書」なのです。

この取扱説明書が「全て頭に入っている」状態がレシピ再現できる最低ラインだと思っていただいて間違いないのですが、これがなかなか大変です。取説の内容詳細は以下からご覧いただけます。

手作業編

プロのレシピは非常にシンプルで基本は「材料分量表記」のみです。音楽の譜面に手順や演奏方法の注釈記載がないのと同じで、レシピにも作り方の手順に関する指南はありません。

どんな順番で混ぜる、などは「決まった型」に沿いつつ、状況により判断すべきだからです。ヘンに書き込んでしまうと、「記載通りにやったのにできないじゃないか!」となってしまいます。プロとアマチュアの差がここにあります。

プロは1レシピを1000回仕込んでも全て同じ完成度で仕上げます。それはその日の条件を加味して(MOTHERSWEETS®の取説が頭に入っていて)毎回違った仕込み方(最適解)を選択しているからです。

対してアマチュアの方は、3回仕込んだら3回とも違う仕上がりになってしまうのが普通です。それは1度覚えた手順(毎回全く同じ手順)で仕込みを行うからです。

ですので、私共が良いレシピを構築させればそれで安泰!とはいきません。多くの場合レシピ納品後こそが最大の壁となるのです。

機械化編


△機械化の難しさ。我が家で食すつもりで無作為に店頭購入したコンビニスイーツです。サイズ1つとっても同じに揃えることは難儀なことが分かります

一般的には「機械化」すれば型にはまった感じで一律に揃ったものが完成しそうなイメージですが、実際には全く反対の事が起こります。

先の項目で手作業による「プロとアマチュア」の差について触れましたが、機械というのはアマチュアの動きと似ていて「毎回同じ動き」(設定した動き)1パターンしかしてくれません。

ですので動画で見られるようなサイズを揃えてカットすることすら難しいのです。いつでも仕上がり(完成品)を揃えるには、手順を変えるのが鉄則です。

バウムクーヘンのような形がいびつなスイーツは一律に同じ幅、長さでカットすると最終サイズがバラバラになります。優秀な職人なら「縦横○○センチ」といった決まったレシピに従うのでなく、1本1本のバウムクーヘンごとにカットの寸法を変えて完成重量を揃えますが…

機械化は手作業で間に合わないほど、商品を沢山作って売りたい場合に直面する第2の壁となります。

障壁を乗り越える方法とは

障壁を乗り越える方法は、ご自身で「MOTHERSWEETS®レシピ取扱説明書」の内容をマスターする、もしくは既に頭に入っている職人さんをスカウトする、優秀な職人さんが在籍しているOEM先を見つける、などが挙げられます。

当方のメニューには技術指導とOEM先のご紹介があり、レシピ完成&納品後は、これらのメニューを必要に応じてご利用いただくことが可能です。

商品開発の障壁、レシピ再現・まとめ

スイーツ商品化には多くの壁がありますが、最も大きな壁が「レシピ完成&納品後」における【レシピの再現】だと思います。ただこちらもプロですので「レシピ構築」の時点で、最大限「再現度」を高めつつ、レシピの操縦法(乗りこなし方)を共有しながらの作り込み(試作テスト)を行います。

良いレシピができて万歳!ではなく、開発着工時点から常に5年後、10年後を見据えています。レシピ構築とは、まるで我が子を産み落とす感覚と同じで当然、産む前に生まれた後の先々のリスクまで考え設計し「健康なレシピ」を生みます。

それでもレシピを再現すること(お渡し先でレシピを育ててもらうこと)は簡単ではありません。自動で成人する赤ん坊がいないように、レシピ=商品化、とはいかないのが難しい部分であり、面白さでもあるのです。

LINEからご相談内容をお聞かせ願います。(月江直通で自動情報配信ではございません)

◆月江 瑞穂(つきえ みずほ)と申します。

商品開発をしたり、製菓業界の知見をお話したり、パティシエに技術指導をしたりしています。10年続ける人が、わずか1%しかいない菓子業界に(こそだてしながら)24年在籍している珍獣です。スイーツ技術コンサルタントとして活動中。

つきえ経歴(←タップしてご覧下さい)

ブログ一覧から「商品開発含む 全500記事」を閲覧できます。  ↓ ↓ ↓

ブログ一覧