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「誰にでも美味しいと言われるお菓子はあるの?」おいしさの主観性

2017.8.13 2023.4.26 更新

スイーツ商品開発にてレシピ製作の依頼を頂戴します。そこで「味の感じ方は人それぞれ」美味しさの定義は何か?に行き着きます。味覚とは不思議なもので、希望するおいしさに迫るには「美味しい!」の定義の擦り合わせが必要です。

「美味しいってどういうこと?」「誰にでも美味しいお菓子ってあるの?」美味しいの正体をまとめてお伝えします。

目次

結論:好みは十人十色・欲する味は人それぞれ

究極においしいお菓子は、食べる人がその時に「食べたい」と思う味を選べる仕様にすることです。好みは人によって違いますし、気分でも変わります。お菓子を食べて「癒されたい」のか「元気になりたい」のか「どれどれ、お味は?お手並み拝見」なのか。目の前のお客様が欲している味を提供することができれば最高です。

年代:味を最適化する(若者~高齢者)

例えば、対象年代によってお菓子の味の作り方は変わります。味覚は年を重ねるごとに少しずつ鈍るので、高齢向けであれば味をハッキリさせつつ胃もたれしないよう構成します。混ぜる具材は大きめにし味にキレを出します。

美味しいものを食べ慣れた中年代にはコクとまろやかさを求められるので、生地の混ぜ加減はしっかり一体化させトッピングでアクセントを付けます。

若い年代は味覚が未熟で繊細な味は伝わり辛く、油脂を多くしてコッテリさせ甘味や酸味でパンチを効かせます。

同じお菓子でもお菓子自体のサイズ、形状、各材料のサイズ、比率、混ぜ方、スパイス使い、トッピングの在り方で、それぞれの好みに最適化させることができます。

玄人:薄い味に仕上げる(薄味~罪悪感の味)

実は「おいしい」と感じる味を作るのは簡単です。そんなの「油と糖をたっぷり入れればいいんだよ!」これは天才パティシエ(山田真純)の名言です。糖と脂は脳が直感的にいい味だと認定する快楽の味です。

ただ食べ始めは美味しくも、すぐ満足して飽きやすい面もあります。一旦は満足しても食後「どの食材の味が際立って美味しく感じられたか?」は記憶に残りません。

こういったお菓子は「毎日食べたい」とはならない俗に言う罪悪感の強い味です。1口目で美味しい味は玄人(消費者)向けではありません。

舌は食物の味を審議にかけ「コレ食べても(飲み込んでも)大丈夫かしら?」とGOサインを出す器官です。甘くコクのある(快楽の)味は簡単にGOサインが出てすぐ飲み込まれます。

ところが味が薄いと舌が味をキャッチするまで判定に時間がかかります。薄味のお菓子は噛む回数がおのずと増え、食材の記憶が残りやすく玄人仕様となります。

日本人の味覚「口内調味」

日本人は味覚が極めて繊細なようです。例えば「定食」でご飯・おかず・汁物・漬物があった時、それぞれを口に入れる分量を調整し好きな味にして食べます。おかずがしょっぱかったら、ご飯を追加して、塩が足りなければ漬物を追加する。そんな和食文化は「口内調味」と呼ばれ、日本人が慣れた食べ方です。

海外向けのお菓子であれば均質に味付けし、日本向けであれば噛むほどに味の変化を確かめ食べ進めるのが楽しくなるよう構成します。上述の玄人仕様薄味で「よく噛んで」素材の味が波のように押して返す「味わいのある菓子」が美味しいの1つの基準かもしれません。

誰にでも美味しいと言われる菓子・まとめ

誰が食べても美味しいと言われるお菓子は正直なところ存在しません。年代、環境、地域性、健康状態、季節、気分など、同じ人物でも昨日食べたかった味と、今日食べたい味は変わります。

皆が満場一致で美味しい味は無いのですが、ポイントは「最適化」にあると思っています。あなたが美味しいと感じる味はコレですよね、と提案(消費者が正しく選択)できればきっと満足いただけるのではないでしょうか。

LINEからご相談内容をお聞かせ願います。(月江直通で自動情報配信ではございません)


◆月江 瑞穂(つきえ みずほ)と申します。

商品開発をしたり、製菓業界の知見をお話したり、パティシエに技術指導をしたりしています。10年続ける人が、わずか1%しかいない菓子業界に(こそだてしながら)23年在籍している珍獣です。スイーツ技術コンサルタントとして活動中。

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