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スポンジケーキのキメ細かさを調整するプロのならではの粉合わせ練習法
プロのパティシエさん向けの上手なスポンジケーキ仕込みのコツについて。気になる「キメ細かさ」については ①卵液温度 ②粉合わせの度合いで決まります。
卵液温度が高いとキメは粗くなり、粉合わせの具合は1度トレーニングをすれば、頭の中でキメを想定して調整できるようになります。経験23年のスイーツ技術コンサルタントがお伝えします。きめ細かいスポンジケーキのポイントは、ぜひ記事を最後までご覧下さい。
目次
- ○ ①卵液に熱を付け過ぎない
- ○ ②粉合わせはしっかり行う
- ○ 粉合わせトレーニング「水スポンジ」レシピ
- ○ 疑問・質問にお答えします
- ・上部中央がネチョっとするのはどうして?
- ○ プロのスポンジケーキ仕込み・まとめ
①卵液に熱を付け過ぎない
スポンジレシピは以下の想定でお話を進めます
(液卵重量の半分の砂糖が入っているもの)例えば卵100 gに砂糖50 gといった具合です。
その場合、卵液は36℃~42℃の人肌~お風呂程度に熱をつけます。工房内が極端に冷え込んでいる場合を除き、必要以上に熱をつけるとキメが粗くなります。
またミキサーの「高速」で泡立てた場合は、終盤に「低速」で回します。生地のボリュームが落ちて(見た目にカサが減ります)ツヤが出るまで行って下さい。
②粉合わせはしっかり行う
ここがプロの1番の腕の見せ所で「粉合わせ」は想像の2倍ぐらいは乱暴に行います。「乱暴」というのは「どのように混ぜるか」の方法論より…とにかく「急いで混ぜる」のが優先という意味です。
一般向けのお菓子レシピ本などでは「切るようにさっくり丁寧に」のような説明を耳にしますが、私は違うと思っています。粉合わせで1番大事なのは「スピード」です。
急ぎ具合は頭の中で「天国と地獄」(運動会の徒競走の曲)をかけて行うと良いです。
考え方としては、泡立った卵液は「水分」、粉は「乾き物」です。水分に乾燥した物がくっつくと、乾燥した物が急激に水分を吸収し始めます。
これが「粉ダマ」の原因です。
つまり、ダマとして固まる前に「蹴散らす」(分散させる)必要があります。ゆえに粉を投入した瞬間→急いで蹴散らす→粉が見えなくなるまで続ける、が鉄則です。
さっくりや、丁寧よりも水分を吸われる前に手早く全体に混ぜる方が重要です(粉が飛び散らない程度に)
パティシエさんの現場では卵が4㎏以上になると、腕を使って粉合わせする機会が増えると思います。そこで腕全体が生地に隠れ、中でどのように動かすべきかわからない!と思うのですが、とにかく生地を動かし続けて休ませない!と覚えて下さい。
粉合わせトレーニング「水スポンジ」レシピ
△東京二子玉川キッチンでの確認作業
水スポンジは私が勝手に付けた名称で「粉合わせ練習」に最適化したスポンジレシピです。配合中に油分を含まず、粉合わせの結果だけがストレートに反映されます。
・卵100
・砂糖50
・粉50
・水10
一般的には最後に温めた「牛乳&バター」を加えるのですが「粉合わせトレーニング用」には油脂が邪魔です。
油脂には「泡を消す」作用があります(台所洗剤の泡がひどい油汚れで弱まるのと同じ)水スポンジなら泡が残って簡単にキメ細かな美味しいスポンジが焼き上がります。
もし私がパティシエの仕事を一言で表すなら「混ぜるプロ」!だと言います。混ぜ方1つでお菓子の仕上がりは大きく変わります。
疑問・質問にお答えします
△スポンジ焼面をスライスして外した状態
上部中央がネチョっとするのはどうして?
部分的にネチョっとするのが課題との事ですが失敗とも言い切れません。完成品を食べて違和感なければ何でもないですし、乾燥させるより美味しいかもしれません。
どうしても原因を検証し改善したい場合は…
①オーブンの上火
②焼き上がり直後の扱い
③レシピ、仕込み方法
①②③の順に確かめていきます(確率の高い順です)
上火をきかせて焼けばほぼ改善するケースです。
プロのスポンジケーキ仕込み・まとめ
当方ではプロ向けの「ナッぺ絞り」の技術指導を行っております。普段は発泡スチロール+ショートニングでトレーニングを行うのですが…
やはり本物のスポンジケーキで!という場合に「水スポンジ」をお勧めしております。粉合わせの加減も習得できるので実務でも役立つと思います。
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◆月江 瑞穂(つきえ みずほ)と申します
パティシエを続ける方を応援しています。10年続ける人が、わずか1%しかいない菓子業界に(こそだてしながら)23年在籍している珍獣です
つきえ経歴(←タップしてご覧下さい)スイーツ技術コンサルタント
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