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スイーツ商品開発 有名店を模倣する際の最大の注意点

2017.10.31 2021.06.03 2023.10.1 更新
スイーツ商品開発にて有名店を模倣する(ベンチマークする)際の最大の注意点。マネに必要な「コスト」の量を、ます把握する必要があります。

スイーツには比較的「マネ」が簡単な物~非常に難しい(ぼぼ不可能)なものまで存在します。マネにコストを割くことは正解か?経験20年超えのスイーツ技術コンサルタントが分かりやすくまとめてお伝えします。

目次

マネできる商品とマネできない商品

今売れている、あの有名スイーツの味を「そっくり」に再現して欲しい!というご要望は多いです。いわゆる「ベンチマーク品の模倣」に該当します。

その際、比較的簡単にマネできる商品と、ほぼマネが不可能な商品があります。マネの難しい商品とは「マネっこ」の上手い下手の問題でなく、そりゃ物理的に難しいよね…というケースが多いです。

難しさは、主に3つの項目から成り立っています。
・人的難しさ
・材料的難しさ
・機械的難しさ

人的難しさは、「国宝レベル」の技術者が手作業で製造しているケースが挙げられます。同じことができる人材がいない。

材料的難しさは、該当商品専用の「畑」があり、独自の「作物」(小麦粉、砂糖、フルーツ)を育てていたり、特別な農場でオリジナルの乳製品を使用している、自社製造の専用ペーストを配合しているなど、そもそも材料が入手できないケース。

機械的難しさは、特許取得の特注品マシン(世界に1台しかない)で製造されているケース。そもそもその機械が入手できない。

これらは、いくらコストを割いても近しい製品を作れる確率が極めて低くコスパが悪いのでチャレンジ自体がお勧めできません。

簡単にマネできた!=万歳とは限らない

では簡単にマネできるものが良いのか?というと、そうでもありません。簡単にマネできる=簡単にマネされる、なので、既に類似品が出回っている可能性が高いです。

いわゆる「パチもん」に埋もれてしまう事が多いです。目新しさが無くなってしまうんですね。そこで、他類似品との差別化や、それをマネされにくくする装置(コピー防止策)が必要になります。

コピー防止力と試作データ量の多さの関係

△複数回試作を重ねることで得られるデータがある
優秀なレシピ構築家の手にかかると、試作1回で「なんともいい感じ」に模倣できてしまうケースが稀にあります。

嬉しい反面、諸刃の剣(危険な部分もある)で、レシピの操縦法(Aの分量をいじると、性質が変わる…といった、レシピ取説)データが得られないため困ることがあります。

コピーされにくい商品を作るには「材料Aを〇%調整すると食感を〇〇にすることができる」のようなデータの蓄積(取扱い説明書の作成)が必須です。その上で「配合のここを工夫すれば絶対マネされにくいよね」という仕掛けを埋め込むことが可能になります。

データの蓄積は複数回試作(実験)を繰り返すことでしか得ることができません。マネされにくい強い商品には、地道な試作が繰り返されているのです。

試作の実験結果が財産になる

△同量でも混ぜる順番で食感が激変することも
当方では「3点比較法」という試作形式を採用しています。1回の試作でA、B、Cパターンといった3品をお作りするのです。

この3品は、若干「甘さが違う」「濃度が違う」「かたさが違う」等、似ているけど、僅かに差がある製品を試食することで、このレシピだとこうなるのね!をクライアントさま含むチーム全体で共有できるメリットがあります。

3点比較法により、自分達の選択の軌跡がたどれるため、過去のレシピに立ち返ったり、応用展開したり、コピー防止の工夫を埋め込んだりと試作回数の全てを財産にすることができるのです。

ベンチマーク品を模倣するなら・まとめ

長く愛される主力商品作りを目指すのであれば、試作実験を、定期的に蓄積していくことが財産になります。

「とらや」さんのような有名店も「昔から変わらないあの味!」と言われ続けるために、誰にも気付かれないレベルでミリ単位のレシピ調整を継続して行うそうです。本当に昔のレシピのまま放置したら時代遅れになってしまいます。

レシピは試行錯誤を蓄積することで厚みを増し、本当に価値のあるコピーできないものになっていきます。お菓子を生むだけでなく、育てる過程もぜひご提案させて下さい。

LINEからご相談内容をお聞かせ願います。(月江直通で自動情報配信ではございません)

◆月江 瑞穂(つきえ みずほ)と申します。

商品開発をしたり、製菓業界の知見をお話したり、パティシエに技術指導をしたりしています。10年続ける人が、わずか1%しかいない菓子業界に(こそだてしながら)24年在籍している珍獣です。スイーツ技術コンサルタントとして活動中。

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