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【スイーツ開発成功の秘密】10 回試作「黄金バランス」を野球の打率に学ぶ
目次
プロの世界は打率3割をキープ
ある日、野球の打率解説動画を見ながら**「3 割打者=10 回に 3 回ヒット」**がプロのクオリティーであるならば、それはスイーツ開発にも当てはまるはずだと、ひらめきました。
失敗を恐れず 10 回振り切るからこそ 3 回の“当たり”が生まれる――これが 「試作の黄金バランス」 であると定義し打率を落とさない事に注力したのです。
試作10回の必要性を解説
なぜ 試作の最適回が【10 回】なのか
統計の安定性: 3〜4 回ではブレが大きく、15 回を超えると試作のコスト・時間が急増。
検証サイクル: 1 回目=叩き台レシピ、2〜9 回目=※単変数テスト、10 回目=最終版。※単変数テストについては後半に記載。
打率 3 割理論: 「10 回試作中 3 本ヒット」が【商品化率】を大幅に向上させるのですが、その理由とは?
結論:試作数が少ない場合に起こる“ボウズ(ヒット0 本)”がほぼ消滅する。ヒットが複数本あると後工程のリスクを吸収できる。データ面でも心理面でも次手の改善サイクルが加速する。
1. そもそも「3/10」理論はどれくらい強いのか?少なくとも 1 本ヒットの確率で検証
1 回だけ試作 30 %(=打率) 30 %
3 回試作 66 %
5 回試作 83 %
10 回試作 97 %
10 回振れば「ヒットが 0 本」で終わる可能性は わずか 3 %
“ヒットが3 本あると” が商品化率を押し上げる理由
◆単独ヒットの場合
1本のヒットがボツにある可能性がある
他社製品に埋もれやすい
社内合議 1 本しかない→「もう 1 回試して」
◆3 本ヒットがある場合
1つボツになっても代替案が2つ残る
ヒットを掛け合わせるなどして棲み分けできる
「A 案 or B 案どちらで稟議?」と前向き
数字で見る安心度
仮に試作合格したヒットでも量産で 40 % は脱落すると仮定すると…
ヒット 1 本 → 商品化まで残る確率 60 %
ヒット 3 本 → 94 %
(どれか 1 本でも生き残ればいい)
試作データが増えると分析力が強くなる「学習効果」の期待。ヒット3 本の共通点=成功因子と、外れた 7 本との違い=失敗因子が比較できるため、レシピの操縦方法が明確化する。以降の開発で打率がさらに上がる。次プロジェクトでは 打率4割も狙える。
心理的メリット
「当たり前に当てられる」と確信できる → 投資判断が速い。チャンスを掴みやすい
現場の声──「3 本あって助かった」ケース
ベイクドドーナツ ヒット1 本目 油量産コスト NGのため → 小麦を国産全粒に替えた 2 本目が採用
プラントベースケーキ 4/10 2 本 米粉仕様は食感◎だが原価高、オーツ粉仕様が採算◎で併売
ギフト用フィナンシェ 2/10 1 本 バター高騰で NG→ヒット数不足で再試作を余儀なくされた
まとめ
「10 回振って 3 本ヒット」は
・ボウズを 97 % 排除し
・後工程の脱落リスクを 6 % まで縮小し
・学習とモチベーションを最大化する。
打率 3 割理論は 確率 × リスクヘッジ × 学習加速 の三位一体。だから商品化確率が飛躍的に向上するのです。
試作 1 回ごとの設計図
ラウンド 目的 変更点例 評価軸
① ベース 現状把握 既存レシピ通り 味・食感・コスト
②〜⑨ 変数テスト 甘味度/焼成温度/水分活性などを 1 つずつ変更 単変数 同上+製造性
⑩ 集大成 ベスト組合せ 最適配合 消費者パネル評価
4. スコアボード式評価シート
項目: 味・香り・テクスチャー・見た目・コスト・量産性・賞味期限。
配点: 各 10 点満点、合計 70 点。
合格ライン: 55 点以上+必須項目(量産性≧8 / 賞味期限≧7)。
turn1image1 を本文中に挿入し、「H=Hit=商品化レベル達成」を視覚的に示してください。
5. ケーススタディ:苺ショートカップ
失敗例: フレッシュ苺で離水 → 水分活性 0.96→0.98 と上昇。
改善: 凍結含浸苺へ変更、ジェノワーズを高マルトースシロップ 2% 添加で保湿。
結果: シート評価 63/70 → 合格。
6. コストと時間を抑える 3 つのコツ
スモールバッチ (500 g-1 kg) で原料ロス最小化。
48 時間以内に官能評価—時間差劣化も確認。
クロスレビュー: 製造・開発・営業が同一シートで採点。
7. まとめ──振り切った数だけヒットは増える
「10 回振って 3 回ヒット」。
それが月江流“黄金バランス”。次の開発も、まずは 10 回バットを振り切りましょう。評価シートとスコアボードで 「見える化」 すれば、ヒット率は必ず上がります。