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美味しい味の正体は“○○”で決まる! ― 製菓理論に基づく味設計のリアル相談例 ―

2018.11.18 2025.4.8 更新
美味しい味の正体は“○○”で決まる! ― 製菓理論、人体理論に基づく味設計のリアル相談例 ―スイーツの商品開発で行うレシピ提供とは、単に材料分量のg数の話ではなく

顧客の咀嚼力・製品空気含有量・喫食温度帯まで考慮したものでなければなりません。経験25年のスイーツコンサルタントが分かりやすく、まとめてお伝えします。

目次

アイデアを形にするには

これから焼き菓子の商品開発案件を下さった、あるクライアントさまとのやり取りをご紹介します。「新しい素材を入れて、もっと美味しくできないか?」そんなアイディアを形にするには素材選定“に加えていつ・どう加えるか”という設計も重要になります。

また、そこには明確な「理由があり」製菓理論と材料学、ひいては人体理論に基づいた提案であるべきです。

ご相談内容(実例)コメント

「味・風味について模索中です。良い素材があればご提案いただきたい。ちなみに醤油は試しました。」
「また、素材を入れるタイミング(例:レモンは溶かしバターに入れる等)も教えてほしい。」

回答コメント実例

前後のご挨拶文を抜きにして以下に本題だけを抜粋&添付致します

1、甘味・香り強化:黒糖、蜂蜜、練乳→ 砂糖の一部を置換。材料中の水分に溶かして加える。

2、塩味アクセント:塩麹、藻塩→ 微量ミネラルによる味の引き締め。粒状のままでは分散しにくいため材料中の水分に溶解して投入。

3、スパイス系:シナモン、カルダモン→ 粉体は粉同士一緒にふるい込む。溶かしバターに抽出しても良い。

4、柑橘系:レモンゼスト、柚子ペースト→ ゼストは溶かしバターに混合してダマ防止。果汁は水分と置き換え。

5、コク出し:焦がしバター、アーモンドプードル→ ナッツ粉は油分が多いため生地が重くなりやすい。粉量の5〜8%が限度。焦がしバターは人肌まで冷ましてから投入。

アレンジ可動域には上限がある

試しに素材を何でも自由に加えてアレンジを楽しむのは良いですが、均整の取れた味にするには、ただ闇雲に「入れれば良い」わけではありません。

例えば、蜂蜜や練乳は入れすぎるとベタつきや焼き縮みの原因に。砂糖全量の置き換えは不可。目安は30〜40%まで。酸性の果汁はベーキングパウダーの反応や焼き色に影響する場合あり。ナッツ粉は油分が多く、この度の配合では粉全体の5〜8%が上限。それ以上では生地全体の設計見直しが必要、など

各素材ごとに注意点が複数あり、その判断は材料学や製菓理論という知識と経験の成せる技なのです。

レシピに表記がない“味”の決め手とは?

実は、味を決める要素は「材料」に限りません。特に【空気、水、温度】に関しては材料分量以上に、味に影響を与える場合が多いです。例えば「アイスクリーム」。溶けてしまったらベタベタに甘く、空気も抜けてしまい、材料の分量以前の問題になると思うのです。

これがアイスクリーム以外の、どんな製品でも同じ事が言えます。混ぜ込む空気は、きめ細かさ、膨らみ、食感に影響しますし、使用する水は、ミネラルバランスや硬度によって、生地の締まり方や色味が変わることも。

また喫食時の温度も、常温・温かい・冷たいなど、どの温度帯で食べるかによって甘味や香りの立ち方、食感が変化します。

加えて、現代人の咀嚼力・嚥下力も加味する必要があり、特に若年層に向けた商品設計では、やわらかさや口どけ設計が非常に重要です。(戦前、戦中世代には、逆に噛み応えが必要)プロの視点には、こうした顧客の世代別・食べる力に寄り添う観点も含まれます。

「見えない素材」(表記されない部分)や「食べ手の身体的特性」まで含めてレシピ設計できるのが本当の仕事です。

製菓理論、人体理論に基づく味設計・まとめ

スイーツ開発では自由な発想とアイデアだけで「何でも入れればOK」とはならない現実があります。知識と理論と経験が必要で、また「美味しさには理由がある」という人体構造も知っていることが大切です。

そうでないと嗜好品の開発ですので、ついつい抽象的な【好み】で進めてしまい【顧客がどう感じるかより自分が美味しい物】を作る流れになって迷走したり、味にパンチが出ない、途中で頓挫する…そこをプロが継続的に介入することで「ブレない明確な理由のある開発」にて進める事が可能です。

〇〇はどうしよう…等と「悩む時間」を費やしても「行動」が、どんどん遅れてしまいます。それより必要な行動に絞って戦略通りに効率良く動く方が確実に結果が出ます。

うーん…これを聞くべきか…?迷った時点でLINEから、お気軽にご相談下さい(月江直通で自動情報配信ではございません)

◆月江 瑞穂(つきえ みずほ)と申します。
商品開発をしたり、製菓業界の知見をお話したり、パティシエに技術指導をしたりしています。3年続ける人が、わずか1%しかいない菓子業界に(こそだてしながら)25年在籍している珍獣です。スイーツ技術コンサルタントとして活動中。

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