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洋菓子製造技能士2級課題ビスキュイ・合格に向けた正しい仕込み方
2021.10.9 2022.11.29 2025.3.17 更新
洋菓子製造技能士の2級課題の1つである【ビスキュイ・アラ・キュイエール】。合格に向けた正しい仕込み方攻略法を解説します。
これを読めば【別立て】生地仕込み、図面の読み解き方、手順について、試験のペース配分など、受験者の抱える疑問が解決します。経験25年のスイーツ技術コンサルタントが分かりやすくまとめてお伝えします。
(▽旧試験課題動画:2025年開催試験から内容が変更されましたのでご注意下さい)
【この記事を書いたのは】
◆菓子製造1級技能士
◆技能検定課題 実演授業を製菓学校にて受け持つ
◆技能検定 補佐員(試験会場見回り役)経験ありの人物です
▶菓子製造技能士を目指す方へ「1日5分聴くだけ」音声ラジオ技能検定版・全シリーズ(←タップすると開きます)
目次
- ○ 仕込み前の準備「敷紙」用意のしかた
- ○ ビスキュイ「別立て」仕込みとは?
- ○ 配合(支給材料)をおさらい
- ○ 合格する理想のビスキュイ生地状態とは
- ○ 図面の読み方・書き方
- ○ 2級洋菓子技能検定ビスキュイ・まとめ
仕込み前の準備「敷紙」用意のしかた
△試験課題は転載禁止のためボカシを入れています
試験では【紙は2枚支給され、まず1枚は下図に、もう1枚を敷紙に】と指示があります。上の画像が【下図】です。これを1枚の紙に筆記具・定規・コンパスを使って書き込みます。
残りの紙1枚は何も書かずに下図の上に乗せます。すると下図が透けて見えます。その状態で鉄板に2枚セットで紙を乗せ、仕込んだビスキュイ生地を絞ります。線書きした紙に直接生地を絞るのではなく、絞り終わったら【下図だけ引き抜いて】オーブン前の補佐員へ提出します。
▷【下図閲覧はこちら】技能検定試験問題公開サイト(←タップすると開きます)
ビスキュイ「別立て」仕込みとは?
試験問題をご覧いただくと、作業1ビスキュイでは「仕様に従って仕込む」と記載があります。(問題がお手元に無い方は下に閲覧URLをご用意しました)
混ぜる順番など細かい指示はありません。ここでは「生地の仕込みを理解しているか」をチェックされます。絞るビスキュイ生地=「別立て」と何も記載がなくても判断できるか試されるのです。「共立て生地」(全卵で仕込むタイプ)と違い「保形性があり」絞れる状態に手仕込みできるかが課題です。
仮に別立てでも、生地がタラタラ流れる状態では(つまり、仕込みでミスをすると)「ほぼ点数はもらえない」と思った方がいいでしょう。
ちなみに審査員の方々は四六時中 受験者の作業工程をチェックするわけではなく最終的にビスキュイの焼き上がりで「仕込みの理解度」を判断します。
▷【問題閲覧はこちら】技能検定試験問題公開サイト(←タップすると開きます)
配合(支給材料)をおさらい
◆卵(殻付き2個)130g
◆グラニュー糖 50g
◆薄力粉 50g
◆バニラオイル 適量
とあります。図面通りに完成すれば良いので、正しい「別立て法」の正解は1つではありませんが、ここに仕込み方の目安を書き記します。以下は特に皆さんが仕込みで迷う代表的な3点です。
・グラニュー糖をどこに加えるか
・どのタイミングで加えるか
・卵黄はホイップするか
以下は私の見解ですが、ご自身の判断で適宜調整下さい。
◆グラニュー糖は最終的に全量を卵白に加える
◆手立てのためタイミングは遅めに3回に分けて加える
◆卵黄はホイップしないし、ほぐさない
=ボウルを極力汚さない・時間短縮
(卵殻に入れたままも可ですが、作業台が揺れてこぼさないようフキンを敷く等、対処が必要)完成したメレンゲに卵黄2つ・バニラを混ぜる(完全に混ぜ切らないうちに)ふるった粉を合わせる
※メレンゲに卵黄を混ぜる作業はホイッパー
※粉合わせ作業はゴムベラ
合格する理想のビスキュイ生地状態とは
△すくった形がそのまま残る生地
課題のビスキュイは「保形性」の良さが決め手です。いわゆる「流れない」生地が仕込めたら合格です。(絞りの完成度は抜きで)保形性は「メレンゲの精度」+「粉合わせ加減」で作れます。
~コシのあるメレンゲを作り、早目に粉合わせを止める~のがコツです。慣れれば当レッスンの受講者さん(女性)も5分で「いい生地」が仕込み上がります。片付けを含めても30分以内には終わらせます。課題2に2時間残せるのが理想だからです。
「タイムスケジュール目安」
①下図紙に補助線を書く(5分)
②生地仕込み(10分)
③生地絞り→オーブン係員に渡す(10分)
④片付け(5分)
図面の読み方・書き方
△下図紙に敷紙(生地を絞る紙)を重ねる
重要なポイントは図面通り忠実に絞ること。特に帯(Ⅰ)と帯(Ⅱ)は山の数(絞る本数)を必ず守ります。円(Ⅲ)のみ、渦の巻き数、右巻き・左巻きは問われません。
・帯(Ⅰ)
絞り18本の生地同士は絞った時点では隙間が空いていてOK(焼成時に膨張しつながる計算で絞る)
・帯(Ⅱ)
絞り20本のうち、3~18本目までが長い状態を保つように
・円(Ⅲ)
中心から外側へ生地を垂らして絞る
2級洋菓子技能検定ビスキュイ・まとめ
過去の技能検定試験で私は「補佐員」(審査員でない案内係)を数回担当させてもらいました。東京の試験会場を拝見していて、驚くほど「ぶっつけ本番なんだろうなぁ…」という受験者さんお見かけしました(失礼を承知でお知らせします)
この試験、実はどんな経験者でも「ぶっつけ本番」で合格できるほど甘くありません。仮に毎日の業務でデコレーション(絞り)を担当される方でも難しいと思います。
この検定試験の難しさは「デコレーションの手技」でなく「間合い」の技術です。
例えば、『お経』を下書きナシで縦20文字・横15行、用紙をめいっぱい使ってピッタリに書き写して下さい、と指示されたら
・列が曲がらないように
・余白が偏らないように
かなり気を遣いますよね。字のキレイな方でもピッタリに収めるのは難しいはずです。
試験でも同じで、絞りがキレイにできることと、図面通りの枠に収める技術は別物で、事前の練習が必須なのです。ただコツさえ掴めば必ず合格できますのでご安心下さい。
〇〇はどうしよう…等と「悩む時間」を費やしても「行動」が、どんどん遅れてしまいます。それより必要な行動に絞って戦略通りに効率良く動く方が確実に結果が出ます。うーん…これを聞くべきか…?迷った時点でLINEから、お気軽にご相談下さい(月江直通で自動情報配信ではございません)また、お声掛けいただければ毎月24日にオンライン質問アフターフォロー会(無料)を設けており、ご招待させていただきます。
◆月江 瑞穂(つきえ みずほ)と申します
パティシエを続ける方を応援しています。3年続ける人が、わずか1%しかいない菓子業界に(こそだてしながら)25年在籍している珍獣です
つきえ経歴(←タップしてご覧下さい)スイーツ技術コンサルタント
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