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スイーツ商品開発にてオリジナルレシピ構築【正しい試作手順】とは

2017.3.2 2022.2.7 2025.3.4 更新
スイーツ商品開発にてオリジナルレシピ構築【正しい試作手順】とは。レシピ作りのための『試作』というのは、ただやみくもに思い付きで進めて回数を重ねれば良いのではありません。

キチンとした効率的やり方で「データを蓄積」するのです。その手順について経験25年のスイーツ技術コンサルタントが分かりやすく、まとめてお伝えします。

目次

構築上手な人は試作回数が「少ない」

オリジナルレシピの構築が上手な人は試作回数が少なく済みます。試作はゴルフと同じで打数が少ない人が腕が良いのです。よく商品開発ストーリー(売り文句)で、何度も何度も試行錯誤を繰り返しました!的な苦労話が出てきたりしますが

プロであれば1打で、まずまずの地点へ着地させますから、よほどの「こだわり」がなければ試作回数は限られてきます。

その試行錯誤が「当てずっぽう」か、明確なデータを蓄積できた有意義な試作1回なのか?で価値が全く違います。当てずっぽうでは無駄な試作が重なり一向に終わりが見えません。そうならないためには事前に、この試作で「どのようなデータを取るのか」目的をハッキリさせる必要があります。

試作はデータが命ですので、ここからはデータの残し方について記したいと思います。

データが取れれば、その試作は「成功」

試作の目的は「データを蓄積すること」です。仮に試作で理想的で思い通りの結果が出なくても「こうすると、こうなる」という明確なデータが取れれば、その試作は大成功と言えます。

重要なのはレシピの操縦法を掌握することで、もし運よく1回の試作で思い通りの製品が完成できたとしても「なぜ上手くいったのか」が全く分からない場合は成功とはならないのです。

データさえ取れていれば、地道に試作を繰り返すことで情報が蓄積しレシピの操縦精度が高まります。すると新しい味を展開する際も、どの材料をどの程度いじれば良いのか、歯切れを変えるには?くちどけを良くするには?が当てずっぽうでなく、キチンと分かるようになるのです。

試作時に記録すべきデータ項目

試作の際は、環境の変化による仕上がりの違いを把握するため記録すべき項目があります。あらゆる条件下で試作することで安定した品質管理ができるようになります。

📌 記録しておくと良い項目5つ

1、試作時の室温・湿度(温湿度計を使用)
2、材料の温度(卵や牛乳などの各材料温度)
3、生地の状態(粘度・泡立ち具合を画像に残す)
4、焼成時間・温度の変化(ホットプレート or オーブンなどの熱源温度管理)
5、焼き上がりの食感・色味(膨らみ、焼き色、ベタつきの有無、断面図、重量、サイズを画像と共に記録)

年間を通じた安定生産のために
✔ 夏場(湿度が高い時期) → 生地を冷やしつつ・除湿機使用
✔ 冬場(湿度が低い時期) → 生地を温めながら・加湿器使用

特に多店舗販売や催事出店、移動販売を考える場合は、季節や場所ごとの環境差も考慮しながら試作を進める必要があります。

前提条件を揃えること

試作の際は「前提条件」を揃える必要があります。例えば「小麦粉」1つとっても、産地やメーカー、粒度やタンパク質量、品種や栽培法が違うと、どんな小麦粉を選んだか?で結果が変わります。ですので「どんな前提条件で」進めたのかを記録しておかないといけません。

使用する材料の前提条件について

1、原材料表示を確認できるよう包装袋を表裏画像に残すと良い
2、製造元・原産国の記録
3、アレルギー・特定原材料の確認
コンタミネーション情報の把握(施設内で別のアレルゲンを扱っていないかメーカー公式情報を確認)

4、ロットごとの違い
フルーツなどの農産物、卵などの畜産物も自然に近い物ほどロット差が出やすいので、該当する場合はロット情報も記録に残す。

このような前提条件の差が【製品仕上がりの差】として出る(影響を及ぼす)ことを商品開発者は深く理解しておく必要があります。※下のリンクから前提条件詳細を確認できます。

商品開発における試作の正しい手順・まとめ

試作で勘違いされやすいのが「理想通り」に出来上がったら「成功」で、そうでないと「失敗」と捉えてしまうことです。実はそうではなくて「データ蓄積の有無」が大切なのです。

つまりこうやったらマズかった、という詳細なデータが取れれば「該当の条件を避ければ良い」という重要な情報が取れたわけで、その試作回は有意義だったと認定されます。

美味しくできたとか、そうでなかったとか一喜一憂するものではなくて、淡々と分析&蓄積を繰り返すことで、おのずとレシピは完成に近づくのです。

LINEからご相談内容をお聞かせ願います。(月江直通で自動情報配信ではございません)

◆月江 瑞穂(つきえ みずほ)と申します。

商品開発をしたり、製菓業界の知見をお話したり、パティシエに技術指導をしたりしています。3年続ける人が、わずか1%しかいない菓子業界に(こそだてしながら)25年在籍している珍獣です。スイーツ技術コンサルタントとして活動中。

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