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【日本酒】をスイーツ素材として活用するには・食文化と歴史背景
【日本酒】について「日本の食」との関連性や、歴史を踏まえての考察ページ。日本酒をスイーツに取り入れる場合も、現代人の食生活や咬合力、唾液量などを考慮しつつ開発を進める必要があります。
スイーツ素材として、今回は酒類の中でも【日本酒】について考えます。経験20年超えのスイーツコンサルタントがまとめてお伝えします。
目次
日本酒と日本の食文化の歴史背景、考察
そもそもなぜ、日本は【日本酒】で、西洋は【ワイン】を飲むのかに着目してみます。
→新しい国づくり、大化の改新で豪族と争い勝つ
それに疲れた天皇が30年後の675年に、当時の天武天皇が勅(みことのり)という様々な命令を国民に出す
→その中に「肉食禁止令」があった(鳥、牛、豚、馬、猿を食べない)ここで日本国民は肉食がタブーとなる。当時、敵だった豪族たちを観察すると…肉食をして凶暴性が高かったこと、実際に肉食べると飼い犬も飼い主に噛み付く事がある、などで今後同じことが起きないようにしたかった
→平安、室町、鎌倉時代になり、幕府のあった鎌倉は三宝を山に囲まれ、武士たちは武芸を磨くと言いつつ、狩りをし動物はこっそり食べる物だった。徳川時代でも狩りは密かに行うもので、特に綱吉の時代は生類憐れみの令により、さらに肉を食べない時代が長く続く
→また唐の国から油を作る製法が伝来した頃、日本は病気になるとキツネに憑かれたとかなどど陰陽師が祈祷して治していた時代で(陰陽師は国の機関の官職になっていたほど)医学が発達していなかった
→当時の日本人は祟りを恐れ、食用よりも「灯り」に油を使っていた
→その日本の食文化に合わせる形で、酒は旨みを上げた「日本酒」となる。魚貝を動物性タンパク質として食べる日本人は、コハク酸という貝と同じ旨みがある日本酒がピッタリだった
→対して西洋は食用に油を使い、肉を食べていたので油脂分と中和する酸味のあるワインが繋がる
→日本にも山葡萄や葡萄があるので、葡萄酒は飲んでいたものの、酸味が強いので食文化には合いません。甘味も酸味を中和させますが、甘い砂糖は日本では高級品でぶどう酒は定着せず
→甘くて旨みを上げてくれて、日本の食文化である「魚貝類」とも抜群に合うのが「日本酒」です
→そこで現代の食文化に合わせる日本酒ならば、酸味の強い物が考えられます。食事情が江戸時代とは変わっているので、好まれる酒の味わいも変化します。今は肉も食べるし油も料理に使う。居酒屋には揚げ物が多い。だからビールやワインが売れる
→一般消費者が何を食べているか
飲食店がどのような料理を出すか
時代的背景から酒の味は変化していくと思われる
→またスイーツに日本酒を活用する場合も、バターなどの油分を含むレシピには酸味の強い日本酒が合う。酒の香りと異質(ハーブ、ナッツ類、チョコレート)の香りで相乗効果を起こしてあげると変化が面白い
商品ネーミングに「酒」と表示するか否か
スイーツを商品化する際、「ネーミング」は非常に重要で、品物は同じでも「名前」が違うと売れ行きが変わることはとは良くあります。
【酒】と表記した時点で、お酒が苦手な人は避けるし、お子さま向けでもなくなるので、必然的に【お酒好き】な大人向けの商品になります。
もう少しターゲット層を変えるのであれば酒という表記を避けるのも1つの方法です。以下のフレーズが参考になるかもしれません。
蔵の風味・秘められた旨み・香り立つ・蔵元の贈り物・伝統の味わい・酵母の香り漂う・美味の粋・米の自然な甘さ・日本酵母の・しっとり発酵の~
スイーツへは「水分」として添加します
スイーツに活用する方法として
・生地中に水分として練り込む
・クリーム類に練り込む
・焼き上がりにかけかり、浸したりする
・別添えのシロップやペーストとして
(煮詰めることでアルコール分を飛ばしたり、濃縮させることがあります)
甘酒や酒粕など比較的水分が少ない素材の場合
上記方法以外に
・ソース類やジャム類、ドレッシングにも
・希釈用ドリンクの素
別途「酒」の粉体(パウダー)があれば
どのパーツにも、最も添加しやすいです
▷関連記事:風味の感じ方の違いはなぜ起こる?スイーツ試食分析・味覚フレーバー編(←タップすると開きます)
日本酒素材のスイーツ活用方法・まとめ
元々クラシックな「洋菓子」には「洋酒」がタップリと使われていました。それは風味面もありますが、保存面で重要な役割を果たしていたのです。
現代では若者のお酒離れと、アルコールで保存性を保つ必要が無くなったためスイーツに酒類を使用するケースは少なくなりました。
ただ個人的には酒風味のスイーツが大好きで、同じ属性の方も一定数おられるため、非常に魅力を感じている素材でもあります。LINEからご相談内容をお聞かせ願います。(月江直通で自動情報配信ではございません)
◆月江 瑞穂(つきえ みずほ)と申します。
商品開発をしたり、製菓業界の知見をお話したり、パティシエに技術指導をしたりしています。10年続ける人が、わずか1%しかいない菓子業界に(こそだてしながら)24年在籍している珍獣です。スイーツ技術コンサルタントとして活動中。
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