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風味の感じ方の違いはなぜ起こる?スイーツ試食分析・味覚フレーバー編

2017.8.6 2023.6.3 2024.1.25 更新
風味の感じ方の違いはなぜ起こる?スイーツの試食会をすると必ず感想がバラつく理由について。それは過去の「食体験」が皆それぞれ異なるからです。

これまで慣れ親しんだ味が軸となり、試食時には味の評価がなされます。被験者(試食者)の味覚体験差が及ぼす影響について経験20年超えのスイーツ技術コンサルタントがまとめてお伝えします。

目次

過去の〈食体験〉が味の感想の違いを生む

△雪印公式サイトから引用
例えば「コーヒー味」と言えば、私は真っ先に雪印さんのコーヒーを思い浮かべます。こどもの頃から大好きな味です。一方でコーヒーなら豆を挽き、ドリップしたものに砂糖もミルクも入れないブラック派!という方もいます。

普段「雪印コーヒー」を愛飲する方は「ブラックコーヒー」を試飲した際「苦い」「味がない」とおっしゃいます。

ブラックコーヒーを愛飲する方は雪印コーヒーは「甘い」「これは珈琲でない」とおっしゃいます。
どちらかが間違っているのではなく、それぞれの過去の食体験が感想の違いを生み出しています。

製菓学校「味覚の授業」で分かったこと

私が製菓学校へ勤務していた頃のお話です。材料学の授業で〈チョコレート〉の食べ比べがありました。
①ブラックチョコ(砂糖もミルクもなし)
②スイートチョコ(砂糖入り)
③ミルクチョコ(砂糖&ミルク入り)

ブラックチョコは「苦い」「味がない!」と不評でスイートやミルクは甘く、学生さんにも好評でした。

しかし、チョコ成分の濃度を比較すると
ブラック=カカオ成分100
スイート=カカオ50:砂糖50
ミルク=カカオ30:砂糖50:ミルク20
となり最も「チョコ味」なのは本来「ブラック」のはずです。

ただ普段「チョコレート」として慣れ親しんだ味が「これぞ我がチョコレート!」としてインプットされるため、口にする機会のない「ブラックチョコ」はチョコの風味がしないと評価されたのです。

同じ物を試食したのに、感想がバラバラ?!

極めつけは「A」「B」「C」と全く同じ内容の試食品を食べ比べいただくテストにて、皆さん「味の違い」を訴える事象が起こる事例です。

これは事前に、もっともらしい「ニセ情報」をお伝えしておきます。例えば、Aは有機素材使用、Bは動物性素材不使用、Cは廉価版の材料で作りました、といった感じです。

すると、出るわ出るわ。Aは風味が良いとか、Bは深みが物足りないとか、Cの味はそれなり、とか、事前情報に左右されたような意見が見事に揃うのです。

その場で「これって、全部味一緒じゃない?」と正答する方は、経験上1%もいません。その位、人間の味覚というのは曖昧なのです。

味の感じ方の違いは何故起こる・まとめ

人間の味覚は様々な要因に左右されるため「美味しい商品」を作る!といった目標設定における「美味しい」の定義を明確化する事が、非常に重要となります。あなたの美味しいと、私の美味しいは違うからです。

また、同一人物ですら「疲れている」と普段より甘味の強い物を美味しく感じたり、お酒が入ると味覚が変わったりとシーン別に「美味しい」を定義する必要があります。

私共の開発チームでも「美味しい」の定義に関するヒアリングは丁寧に実施する部分です。LINEからご相談内容をお聞かせ願います。(月江直通で自動情報配信ではございません)

◆月江 瑞穂(つきえ みずほ)と申します。

商品開発をしたり、製菓業界の知見をお話したり、パティシエに技術指導をしたりしています。10年続ける人が、わずか1%しかいない菓子業界に(こそだてしながら)24年在籍している珍獣です。スイーツ技術コンサルタントとして活動中。

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