Blog 読むとツキがあがるブログ
- CATEGORY
小麦粉不使用 おから100%サクサククッキー 過去案件のご紹介
小麦粉不使用・卵不使用のおから100%サクサククッキーのご要望に沿うべく、試作を重ねた開発過程をご紹介します。もっとも再現の難しい点は、食感を表す「サクサク」という擬音語を、どう捉えるか?です。
「サクサク」の感じ方は人それぞれ。求めるサクサク食感を追求するのに、丁寧なヒアリングとパティシエの技量が大変重要となります。経験21年のスイーツコンサルタントがお伝えします。
目次
- ○ 当初のご要望が「ひっくり返る」事例とは
- ・卵なし→卵ありに路線変更
- ・小麦粉なし→小麦粉ありに路線変更
- ○ 「サクサク」の加減?擬音語で食感再現
- ・フレーバーは何種類でも増やせます
- ・・プレーン
- ・・ストロベリー
- ・・セサミ
- ・・ココア
- ・・パッケージ
- ○ サクサク100%おからクッキー・まとめ
当初のご要望が「ひっくり返る」事例とは
△3パターン比較法で試作します
形がないものを「形にする」のは、大変地道な作業です。特に「味や食感」というのは目に見えず、好みが分かれるため、お望み通りのものを「ドンピシャ」で当てることは超能力者でもない限り不可能です。
そこで時間を頂戴し、詳しくヒアリングをさせてもらいます。結果を踏まえパティシエが候補を3つ立て試作します(これを3パターン比較法と言います)
ただ、そこに我々の判断で1つ「フェイク(偽物)」を混ぜ込むことがあります。例えば今回を例にすると「卵なしで!」という注文の中に、あえて「卵入り」パターンを含ませたことです。
卵なし→卵ありに路線変更
△フェイク試作品に対するご感想
丁寧なヒアリング時間の設定で、お客様は「Aがいい」と仰っているけど「きっとB」を知ったら考えが変わるはず、と思うことは多々あります。そんなわけで「フェイク品」を混ぜるのですが、試食して1番良かったのがフェイクとなると、当初のご希望とは「真逆」に落ち着くことになります。
仮にフェイクを混ぜない場合は「うーん…なんかどれもピンと来ない」といった感じで、存在しないオアシスをどこまでも探す、ゴール無き試作の冒険に出ることになります。
要望に背くフェイク品は、意地悪ではなく、ゴールまで最短でご案内する道しるべとも言えます。
小麦粉なし→小麦粉ありに路線変更
△2度目のフェイク品を混ぜました
次に「小麦粉なし」の指示が出た際「小麦粉あり」のフェイクを混ぜました。(大変失礼しました)「卵も小麦粉も使わないで」「Aの味を出す」までならレシピの工夫でなんとか実現可能だが「Aの食感を出す」を出すとなると「実現不可能」というケースはあります。今回ですと、味と大まかな食感は操縦できるけど、食感の細部(サクサク具合)までは…といったところです。
これは
①パティシエのレシピ構築力不足
②物理的に無理
どちらもあります。
そんな時、物理的に「無理だよね!」というケースでご理解・納得いただくためにフェイクを混ぜるという意味合いが大きいです。単に「それはちょっとご希望通りにできません」だと「お前らの力不足じゃね?」ってことになってしまいますからね。
「サクサク」の加減?擬音語で食感再現
△実現可能なこだわりに全振りします
当初のご依頼を整理すると
①卵不使用
②小麦粉不使用
③柔らかいサクサク食感
この3点で試作を進めて参りました。
味や柔らかさは良いけど、サクサク具合がちょっと違う…となった段階で「フェイク品」を混ぜさせていただき、ご希望の食感を取るには、卵小麦粉不使用のこだわりを解除いただくことになりました。
ちなみに小麦粉が入らないクッキーは「ホロホロ」崩れるような食感で「サクサク」と音を立てる感じではないですね。どちらも好みの問題で優劣があるわけではありません。私は「ホロホロ」タイプも好きですけどね。
フレーバーは何種類でも増やせます
△最終的な試作フレーバーは8種類になった
クッキーに限らず、スイーツ開発全般で「プレーン味」だけだと寂しいなあ…という場面はあります。おすすめは一旦「プレーン味」1本でテスト販売いただくことです。
そこで「お客様の声」を反映させた「最新版プレーン味」と、その仲間たち(各種フレーバー)を増やし始める流れです。
最初から何種類も味を作るのは「時間や費用」が多大に必要です。初めはプレーン1本に注力し「春頃、新フレーバー苺が登場予定!」のように告知だけして「先行予約」を受け付ければ、お客様に飽きられることなく、早々に商品販売のスタートを切ることが可能です。
・プレーン
・ストロベリー
・セサミ
・ココア
・パッケージ
サクサク100%おからクッキー・まとめ
スイーツの商品開発では「信頼関係」を築くことがとても重要になります。そのため時間をかけたヒアリングがどうしても必要です。時にご要望の先に「ゴールがない」事態は起こり得るので、最適なコースを選択するため道案内とハンドル操作を預けていただく形になります。
LINEからご相談内容をお聞かせ願います。
自動情報配信ではございませんで、ご登録だけですと何も流れてきません。ご覧いただいた記事の内容についてなど、ぜひコメントをお願いします(^.^)
◆月江 瑞穂(つきえ みずほ)と申します。
商品開発をしたり、製菓業界の知見をお話したり、パティシエに技術指導をしたりしています。10年続ける人が、わずか1%しかいない菓子業界に(こそだてしながら)21年在籍している珍獣です。菓子と現場の人づくりスイーツコンサルタント。
つきえ経歴(←タップしてご覧下さい)
ブログ一覧から「商品開発含む 全500記事」を閲覧できます。 ↓ ↓ ↓