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スポンジケーキのキメ細かさを調整するプロのならではの粉合わせ練習法

2017.02.24 2020.10.20 2022.1.15 更新

プロのパティシエ向けに、上手なスポンジケーキのコツをご説明します。まず「キメ細かさ」は①卵液温度②粉合わせの度合いで決まります。

何度か粉合わせのトレーニングを行えば、頭の中でキメ細かさを想定し、生地を目視して調整できるようになります。経験21年パティシエの技術指導を行うスイーツコンサルタントがお伝えします。

きめ細かいスポンジケーキのポイントは以下の2つ。

①卵液温度

②粉合わせの度合い



 

卵液に熱をつけすぎない


スポンジケーキは卵液を36℃~42℃といった人肌~お風呂程度に熱をつけます。(スポンジケーキのレシピは通常の卵重量の半分のお砂糖が入っているものを指します。例えば卵100 gに砂糖が50 gといった具合)

工房が冬場で極端に冷え込んでいる場合を除いて、必要以上に熱をつけるとキメが粗くなる原因となります。

 

粉合わせをしっかりする


ここがプロの1番の腕の見せ所かもしれません。粉合わせは想像の2倍ぐらいは乱暴に行います。「乱暴」…ではどんな状態か分からないので、もう少し解釈度を上げて説明します。

時々、粉合わせは「切るようにさっくり丁寧に」のような説明を耳にしますが、私はそれは違うと思います。プロの仕込み量で1番大事なのは「スピード」です。

考え方としては、泡立った卵液が「水分」、粉は「乾燥物」です。水分に乾燥した物がくっつくと、急激に乾燥した物が水分を吸収し始めます。

これが、「粉がダマになる」原因です。

つまり、ダマとして固まる前に「蹴散らす」必要があるのです。ゆえに粉合わせは、粉を投入した瞬間→急いで蹴散らす→粉が見えなくなるまで、が鉄則です。さっくりとか、丁寧よりも水分を吸われる前に早く全体に混ぜることが1番大切です。

ただ現場で卵が4㎏以上になると、腕を使って粉合わせする機会が増えると思います。腕がボウルの生地の中に隠れて、中でどのように動かすのかわからない!というご相談を受けます。そんな時は、とにかく生地を休ませない!と覚えておくといいです。

動いていない生地があると良くないので、ボウルの底から生地をすくい上げる作業を高速で繰り返します。私の場合は粉合わせの時、脳内で「天国と地獄」をかけてます。運動会の徒競走で有名なあの曲です。



あのテンポで全力で急ぎます。とにかく生地と粉をくっつけたままじっと休ませておくというのは絶対にしてはいけません。

 

おまけレシピ・水スポンジ


水スポンジは勝手に命名した「粉合わせ練習」に最適なスポンジのこと。配合に油分を含まないので、粉合わせの結果だけがストレートに反映されます。



卵100

砂糖50

粉50

水10 

通常は最後に「牛乳とバター」を温めたものを加えると思いますが、粉合わせのトレーニングには油脂が邪魔です。純粋な粉合わせの状態が分かりにくいので今回は入れません。上手に粉合わせできていれば非常にキメ細かく美味しく焼き上がるレシピになっています。

追記:お菓子作りは温度が非常に大切。私はこの記事が大好きローストビーフ温度管理記事(衛生管理アドバイザーコラム引用)お菓子もローストビーフ同様、温度の違いで出来上がりが大きく変わったり、わずかなコツや工夫で精度が格段に高まります。



◆月江 瑞穂(つきえ みずほ)と申します。

パティシエを続ける方を応援しています。10年続ける人が、わずか1%しかいない菓子業界に(こそだてしながら)21年在籍している珍獣です。

つきえ経歴(←タップしてご覧下さい)こそだてしながら、スイーツ商品開発・パティシエの練習指導を行う、パティシエトレーナー、スイーツコンサルタント

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